
インバーターとは、電気の波(周波数や電圧)を自在に作り直す装置のことです。エアコンや冷蔵庫のモーターの回転数を細かく調節できるようにした、省エネ家電の陰の立役者。「インバーター搭載」の表示には、ちゃんと意味があります。
やさしい解説
コンセントから来る電気は、周波数(1秒間の波の数)が決まっています。この電気でモーターを回すと、回転数はほぼ一定。つまり昔の家電は「全力で回す」か「止める」かの二択しかなく、オンとオフをくり返して調節していました。こたつや昔のエアコンが「ついたり消えたり」していたのは、そのためです。
そこで登場したのがインバーターです。電気をいったん直流に変え、半導体のスイッチで細かく刻み直して、好きな周波数の交流を作り出します。周波数を変えられれば、モーターの回転数も自由自在。「全力かゼロか」から「ちょうどいい力で回し続ける」へ——家電の運転が、まるでなめらかになったのです。名前の由来は「変換するもの」という意味の言葉。電気の世界では、直流から交流を作り出す装置を指します。
効果がいちばん分かりやすいのはエアコンです。設定温度に達したら止まり、暑くなったらまた全力……という昔の運転は、車でいえば急発進と急ブレーキのくり返し。インバーターエアコンは、室温に合わせて出力を微調整しながら走り続けるので、温度は安定し、電気のムダも減ります。体感の快適さと省エネを同時にかなえる、うまいやり方です。
冷蔵庫や洗濯機、換気扇、蛍光灯の安定器に代わる電子回路まで、インバーターの活躍の場は家中に広がりました。扇風機の「そよ風のような微風」も、細かな回転制御のたまものです。電子レンジの細かな火力調節にも、同じ考え方が生きています。
暮らしとの関わり・注意点
買い替えのときは、「インバーター搭載(制御)」の表示に注目してみてください。同じ容量の機種でも、運転のなめらかさ、静かさ、そして電気代に差が出ます。とくにエアコン・冷蔵庫のような「一日中働く家電」ほど、恩恵は大きくなります。カタログの年間消費電力量を見比べると、その差が数字ではっきり確かめられます。省エネラベルの星の数にも表れる部分です。
実は、太陽光発電にもインバーターがいます。パネルが作るのは直流なので、家庭で使える交流に変換する必要があり、その役目を担う「パワーコンディショナ」の中身が、まさにインバーターです。電気自動車のモーター制御も同じ技術。現代の電気の暮らしは、インバーターだらけなのです。
ひとつ注意したいのは、発電機や一部の安価な電源で「インバーター方式でないもの」を精密機器につなぐと、波形の乱れで不調が出ることがある点です。パソコンなどをつなぐ非常用電源を選ぶときは、「正弦波インバーター」の表示を確認すると安心です。災害用の発電機や車内用の電源を選ぶ場面で、役に立つ知識です。
「エアコンの効きが悪い」「電気代が急に増えた」——そんなご相談の答えが、古い機器の買い替えにあることも少なくありません。機器選びと専用回路の工事まで、まとめてお手伝いします。快適さの底上げは、意外と身近な機器から始まります。
関連する用語
回される側の主役は「モーター(電動機)」の項でどうぞ。電気の波の話は「交流と直流」「周波数」、省エネの数字の見方は「省エネラベル」で解説しています。