
電気を通さない「壁」の厚みを数字で確かめる——それが絶縁抵抗の測定です。電気設備の技術基準は、低圧回路の絶縁抵抗に0.1・0.2・0.4MΩという3つの最低ラインを定めています。健康診断でいえば、血圧のような基本の数値。意味が分かると、点検報告書が読めるようになります。数字は3つだけ——覚えて損はありません。
やさしい解説
電線の被覆や機器の内部には、電気を漏らさないための絶縁物が使われています。その性能を表すのが絶縁抵抗で、単位はMΩ(メガオーム)=100万Ω。数字が大きいほど、電気は漏れられません。測定には絶縁抵抗計という専用の測定器を使い、回路を停電させてから測ります。停電させるのは、正確さと安全の両方のためです。
基準は電圧の区分で3段階。対地電圧150V以下(ふつうの100V回路)は0.1MΩ以上、300V以下(単相3線式の200V回路など)は0.2MΩ以上、300Vを超える低圧回路は0.4MΩ以上です。大切なのは、これが「最低ライン」だということ。健康な回路なら、実測値は桁違いに大きく出ます。基準すれすれの値は「合格」というより「劣化のサイン」——数字の読み方ひとつで、点検の価値は大きく変わります。報告書のこの行が読めるだけで、点検との付き合い方は変わるはずです。

暮らし・現場との関わり
この数値は、暮らしの中の「あの書類」に載っています。新築・リフォームの竣工検査の記録、事業所なら年次点検の報告書。「絶縁抵抗 ○○MΩ」の行を見つけたら、基準よりどれだけ余裕があるかを眺めてみてください。年々じわじわ下がっていく回路があれば、被覆の劣化や湿気の侵入が疑われます。「去年より下がっていないか」が、いちばん大切な見方です。
停電をともなう測定は、住まいでは頻繁にはできません。だからこそ、リフォームや分電盤交換などの「停電するついで」が貴重な測定チャンス。私たちも工事の際は、関係する回路の絶縁を必ず測って記録に残します。数字の積み重ねが、家の電気の履歴書になるからです。測って残す——それが次の10年への贈り物になります。
まとめ
絶縁抵抗の基準は0.1・0.2・0.4MΩの3段階——ただしそれは最低ライン。余裕と推移にこそ意味があります。次回は、家電のアース端子の正しいつなぎ方。緑の線の実践編です。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに、内容をやさしく要約したものです。個別の判断は一次情報や専門家にご確認ください。