
緑色の「非常口」のサイン——誘導灯。停電の瞬間にぱっと灯る非常用照明。似た者同士のこの二つ、実は根拠の法律が違います。誘導灯は消防法、非常用照明は建築基準法。今回は、停電の夜に働く灯りたちの法規です。ふだんは脇役、非常時は主役という灯りたちです。
やさしい解説
誘導灯の仕事は「出口の方向を示す」こと。避難口の上の緑のマーク、通路で方向を示す矢印つきのマーク——火災の煙で視界が悪くても、光るサインが避難の道しるべになります。消防法に基づき、建物の用途・規模に応じて設置場所が決められ、内蔵の電池で停電時も一定時間光り続けます。近年は消費電力の小さい高輝度タイプへの更新も進んでいます。
非常用照明の仕事は「避難路の足元を照らす」こと。建築基準法に基づく設備で、停電時に廊下や階段が真っ暗にならないよう、最低限の明るさを確保します。方向を教える誘導灯と、床を照らす非常灯。役割分担のよくできた二人組で、どちらも「電気が切れた瞬間こそ本番」という、電気設備としては少し変わり者の存在です。だからこそ、電池と電源の点検が命になります。働く姿を誰も見ないまま寿命を終えるのが、彼らの理想なのです。

暮らし・現場との関わり
ビルやお店で、緑のサインをちょっと気にして見てください。ランプが消えていたり、点滅していたり、充電モニターの赤いランプが点いていたりしたら、それは点検のサイン。オーナーや管理会社への一報が、いざという夜の誰かの命を助けるかもしれません。器具の電池には寿命があり、定期点検(第67回)での交換が前提の設計です。非常時に働けるかは、平時の交換記録が物語ります。
店舗の内装替えでレイアウトが変わると、避難経路も変わり、誘導灯の位置や向きの見直しが必要になることがあります。「サインの矢印が、ふさがれた通路を指している」——そんな事態を防ぐのも、工事とあわせた確認の役目。照明のLED化やリニューアルの際は、誘導灯・非常灯もセットで計画するのが効率的です。避難の道しるべは、店の姿とともに育てるものです。
まとめ
誘導灯は消防法、非常灯は建築基準法。停電の瞬間が本番の灯りは、日ごろの点検だけが頼りです。次回は非常時の電源そのもの——非常用発電機の点検義務、負荷運転試験のルールです。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに、内容をやさしく要約したものです。個別の判断は一次情報や専門家にご確認ください。