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電子とは?

2026.08.11
電気の用語集No.011「電子」のサムネイル。原子核のまわりを電子が回る原子モデルのイラストと「電気の正体である小さな粒」のひとこと解説。

電子(でんし)とは、電気の正体である、とてつもなく小さな粒のことです。マイナスの電気を帯びていて、この粒が動くことこそが「電気が流れる」という現象の正体です。

やさしい解説

世の中のすべてのもの——机も水も空気も、私たちの体も——は、「原子」という小さな粒の集まりでできています。その原子の中心には「原子核」があり、そのまわりを回っているのが電子です。よくイメージ図に描かれる、太陽のまわりを惑星が回るような姿を思い浮かべてください。

金属のように電気をよく通す物質の中では、一部の電子が原子から離れて自由に動き回れます(自由電子)。この電子たちが、いっせいに同じ方向へ動く——それが「電気が流れる」ということです。つまり電気とは、目に見えない小さな粒たちの、大移動なのです。

面白いのは、電子そのものはゆっくりとしか進んでいない、ということ。それでもスイッチを入れた瞬間に照明が点くのは、電線にぎっしり詰まった電子が、ところてんのように押し出し合って、「押す力」がほぼ光の速さで伝わるからです。

ちなみに、「電流の向き」は電子が動く向きと逆に決められています。電子が発見されるより前に「電気はプラスからマイナスへ流れる」と決めてしまい、あとから本当は逆だと分かっても、世界中で使われていたのでそのままに——という、科学史のちょっとした笑い話です。

電子がどれほど小さいかというと、1アンペアの電流が流れているとき、電線の断面を1秒間に通り過ぎる電子の数は、およそ620京個(京は兆の1万倍)。想像を絶する数の粒が、休みなく行進していることになります。スマホの充電ケーブルの中でも、いままさに、この大行進が起きているのです。

電子が発見されたのは1897年、イギリスの物理学者J.J.トムソンによってでした。人類が電気を使い始めてから、その正体が分かるまでには、ずいぶん時間がかかったのです。

暮らしとの関わり・注意点

「電子」の名は、身近な言葉のあちこちに顔を出します。電子レンジ、電子マネー、電子機器……。とくにスマホやパソコンの中の半導体は、電子の流れを細かく交通整理する部品で、まさに電子を手なずける技術の結晶といえます。

冬にドアノブでバチッとくる静電気も、こすれ合いで電子が移動して、体にたまることが原因です。電気というと特別なものに感じますが、その正体は、あらゆる物質にもともと含まれている電子。だからこそ、条件がそろえばどこでも電気は生まれ、どこにでも流れ得るのです。

「電気の正体は小さな粒の流れ」と知っておくと、感電やショートといった現象も、「流れてはいけない場所に電子が流れてしまった状態」として、すっと理解できるようになります。

この小さな粒を自在にあやつる技術——半導体、電子顕微鏡、コンピューター——が、現代の文明を支えています。「電気の正体は電子」というたった一つの発見が、これほど世界を変えたと思うと、感慨深いものがあります。もっとくわしい読み物としては、雑学シリーズの「そもそも『電気』って何もの?」もおすすめです。

関連する用語

電子の通り道については「電気回路」、電子が動きやすい・動きにくい物質については「導体と絶縁体」の項をどうぞ。電子がたまって起きる「静電気」、流れる量を表す「電流(A)」も、あわせて読むと理解が深まります。

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