
配線でいちばん故障が出やすいのは、電線と電線のつなぎ目です。接触不良、ゆるみ、発熱——弱点はいつも接続点に生まれます。だから内線規程は、電線接続のルールをとりわけ丁寧に定めています。今回は「つなぎ目の作法」の話です。家の配線の寿命は、つなぎ目の質で決まると言ってもよいほどです。
やさしい解説
作法の柱は4つあります。①電気的に完全に接続すること(抵抗が増えないように)。②引っ張りの力をつなぎ目にかけないこと。③接続部の絶縁を、元の被覆と同等以上に復元すること。④接続は原則としてジョイントボックスなどの箱の中で行うこと。むき出しのつなぎ目を壁や天井の中に放置しない、というわけです。4つとも「時間がたってもゆるまない・熱を出さない」ための知恵です。
実際の接続には、リングスリーブ(圧着)や差込形コネクタといった専用の器具を使います。ペンチでねじってビニールテープを巻いただけ——そんな接続は、時間とともにゆるみ、発熱の火種になります。第16回で見たとおり、電線どうしの接続はそもそも資格の要る作業。道具と手順が決まっているのは、つなぎ目が配線の寿命を決めるからです。技能試験で接続作業が重視されるのも、同じ理由です。工具や器具は進化しても、「確実に」の原則は昔から変わりません。

暮らし・現場との関わり
中古住宅の点検やリフォームの解体で、天井裏から「ねじってテープ」の接続が見つかることがあります。過去の増改築で、資格のない人が手を入れた痕跡です。こうした接続は見つけしだい、箱の中の正規の接続にやり直します。天井裏や床下は、家の配線の履歴書。点検の機会に一度プロの目を通しておくと安心です。築年数のある家ほど、一度の点検の価値は大きくなります。
ご家庭でできる関わりは、「つなぎ目を増やさない使い方」です。延長コードのつぎ足し、テーブルタップの数珠つなぎは、住宅側の話ではありませんが、原理は同じ——接続点が増えるほど弱点が増えます。コンセントが足りないと感じたら、つぎ足しではなく増設をご検討ください。弱点は、増やさないのがいちばんの対策です。
まとめ
つなぎ目は配線の弱点。だから「完全に・張力をかけず・絶縁を戻し・箱の中で」という作法が決まっています。次回は、電力線と情報の線の距離感——弱電流電線との離隔のお話です。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに、内容をやさしく要約したものです。個別の判断は一次情報や専門家にご確認ください。