
露出配線(ろしゅつはいせん)は壁や天井の表面に見える形で配線する方法、隠蔽配線(いんへいはいせん)は壁の中や天井裏に隠して配線する方法です。同じ「電気を通す」でも、通し方はこの2種類。それぞれに向き不向きがあります。
やさしい解説
新筑の住宅は、基本的に隠蔽配線で作られています。柱や梁の段階で配線を仕込み、壁を閉じてしまえば、ケーブルは一切見えません。すっきりした見た目は、隠蔽配線の最大の魅力です。家具の配置替えにも配線が干渉せず、掃除もしやすい——住宅の標準になった理由がよく分かります。
いっぽう露出配線は、配線を表に出して固定する方法です。工場や倉庫、レトロな喫茶店の天井などで見かける、あの配線スタイル。碮子(がいし)引きと呼ばれる昔ながらの工法や、電線管・モールを使った現代的な露出配線もあります。体育館や駅の天井を見上げると、整然と並んだ配管と配線に出会えます。あれは機能がそのまま意匠になった好例です。
優劣ではなく、使い分けです。隠蔽は美しいけれど、壁を開けない限り後から変えにくい。露出は見た目に現れるけれど、施工が早く、増設や変更に強く、点検もしやすい。この特徴の違いが、選びどころになります。ひと言でまとめるなら「あとから足すのは露出が早い、最初から仕込むなら隠蔽がきれい」です。
最近は、あえて配線を見せる「見せる配線」のデザインも人気です。黒い電線管やレトロな碮子を意匠として使う——古民家カフェや店舗の内装で、配線が主役級の存在感を放つこともあります。無骨さを楽しむ倉庫風の内装では、定番の演出です。
暮らしとの関わり・注意点
リフォームでこの2つが話題になるのは、「コンセントを増やしたい」「照明を移したい」というときです。壁の中を通せれば仕上がりはきれいですが、構造や断熱材の関係で通線が難しい場所もあります。その場合は、露出配線+モールで実現する——という選択肢が現実的です。白いモールを壁紙になじませれば、思いのほか目立たないものです。
費用と工期にも差が出ます。隠蔽は壁の開口・補修が伴うぶん大きめ、露出は施工が早いぶん手頃。「見た目」と「コスト」のバランスをどこで取るかは、場所の目立ち具合で決めるのがおすすめです。納戸や物置は露出で十分、リビングの目立つ壁は隠蔽で、という合わせ技もよく使います。見える場所に投資し、見えない場所は合理的に。予算の配分にメリハリをつけるのが、賢いリフォームのコツです。
コンクリート造りの建物では、壁の中に管が埋め込まれていて、そこを通せるかどうかが勝負どころ。通らなければ露出の出番です。集合住宅の改装では、この見極めが計画の分かれ道になります。現地調査で「通るか通らないか」を見極めてからのご提案になります。
どちらの工法でも、配線工事は電気工事士の仕事です。ルート選びから美しい納まりまで、経験がものを言う世界。仕上がりイメージも含めて、お気軽にご相談ください。「この壁にコンセントは作れますか?」——その質問だけで、私たちは喰んで現地へうかがいます。
関連する用語
露出配線の相棒は「配線モール」「電線管」の項でどうぞ。通す中身は「VVFケーブル」、分岐点の箱は「ジョイントボックス」——配線まわりの用語をそろえて読むと、工事の話がよく分かります。