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「高圧受電」と「低圧受電」の違い— 事業所の電気の基本

2026.07.25

これまでは家庭の電気を中心にお話ししてきましたが、今回は少し視点を変えて、「事業所の電気」の基本についてご紹介します。工場やビル、大きなお店などでは、家庭とはちがう方法で電気を受け取っているのをご存じでしょうか。キーワードは「低圧受電」と「高圧受電」。会社や店舗の経営に関わる方はもちろん、「電気ってそうなっていたのか」と、雑学としても面白い話です。事業所の電気のしくみを、わかりやすく解説します。

電気の受け取り方は、3種類

電気は、電力会社から各家庭や事業所へ送られてきますが、その「受け取り方(受電)」には、使う電気の量に応じて、大きく3種類があります。「低圧受電」「高圧受電」「特別高圧受電」の3つです。使う電気が多くなるほど、より高い電圧で受け取るようになる、と考えるとわかりやすいでしょう。

まず「低圧受電」は、一般家庭や、小規模なお店などが対象です。契約電力でいうと、50kW(キロワット)未満。電力会社が、あらかじめ使いやすい100Vや200Vに下げた状態で電気を届けてくれるので、受け取る側で特別な設備は必要ありません。次の「高圧受電」は、工場やビル、スーパーマーケットなど、ある程度大きな事業所が対象で、契約電力は50kW以上。6,600Vといった高い電圧で電気を受け取ります。そして「特別高圧受電」は、大規模な工場や大型商業施設などが対象で、契約電力2,000kW以上。さらに高い電圧で受電します。

身近な例で考えてみましょう。一般家庭や、小さな飲食店、コンビニエンスストアなどは、多くが「低圧」です。一方、中規模以上のスーパー、オフィスビル、町工場、病院、学校などになると、「高圧」で受電しているケースが多くなります。ふだん何気なく利用しているお店や施設も、その裏側では、こうしたしくみで電気を受け取っている——そう考えると、街の見え方が少し変わってくるかもしれませんね。

電気の受け取り方の3種類として、家庭・小規模店舗の低圧受電(50kW未満)、工場やビルの高圧受電(50kW以上・6600V)、大規模施設の特別高圧受電(2000kW以上)を規模とともに示した図。
図1:電気の受け取り方は3種類。規模が大きいほど高い電圧で受電します。

低圧受電と高圧受電のちがい

では、身近な家庭の「低圧」と、多くの事業所が使う「高圧」は、具体的に何が違うのでしょうか。いちばんの違いは、受け取る電圧です。低圧は100V・200Vで、そのまま使える状態。一方、高圧は6,600Vなどの高い電圧で受け取り、施設の中で使える電圧に下げる必要があります。この「下げる」ための設備が、あとで説明する「キュービクル」です。

もうひとつ、経営に関わる大きな違いが「電気料金の単価」です。一般に、高圧受電のほうが、電気1kWhあたりの単価は安くなる傾向があります。たくさん電気を使う事業所にとっては、これは大きなメリットです。ただし、そのぶん、キュービクルの設置費用や、後述する保安管理のコストがかかります。安い単価と、設備・管理のコスト。この両面を天秤にかけて、どちらが有利かを判断することになります。

ちなみに、なぜ高圧のほうが単価が安いのでしょうか。それは、電気は電圧が高いほど、送るときの「ロス(損失)」が少なく、効率よく運べるからです。電力会社にとっては、電圧を下げる手間を事業所側にまかせられるぶん、コストが抑えられます。そのぶんが、割安な単価という形で反映されるわけです。「たくさん使う人ほど、まとめて効率よく」という考え方は、電気の世界にもあるのですね。

低圧受電と高圧受電を、受電する電圧・契約電力の目安・キュービクルの要否・電気料金の単価・保安の管理の5項目で比較した表の図。
図2:低圧と高圧の比較。単価の安さと、設備・管理コストのバランスがポイント。

さらに、「保安の管理」も異なります。低圧受電では、安全の管理はおもに電力会社側が担いますが、高圧受電になると、事業所が自らの責任で電気設備を管理する必要があります。そのために、「電気主任技術者」という資格を持つ人による、定期的な点検や保安管理が求められます。高圧受電は、電気を安く使える一方で、それを安全に維持する責任も、あわせて負うことになるのです。

キュービクルとは?

高圧受電に欠かせないのが、「キュービクル(受変電設備)」です。これは、電力会社から届く6,600Vの高い電圧を、施設で使える100Vや200Vに下げるための設備。ビルの屋上や、敷地内の一角に置かれている、大きな金属製の箱を見たことはありませんか。あれがキュービクルです。高圧受電をする事業所には、必ず設置されています。

キュービクルは、高い電圧をあつかう重要な設備のため、法律によって、定期的な点検が義務づけられています。この保安管理を担うのが、先ほど触れた電気主任技術者です。そして、キュービクルの設計や設置工事、保守は、高い専門性が求められるため、第一種電気工事士をはじめとする専門家が担当します。家庭の電気工事とは、規模も求められる知識も、大きく異なる世界なのです。

キュービクルは高圧6600Vを100V・200Vに下げる受変電設備で、屋上や敷地内に置かれる金属の箱、定期点検が法律で義務、設計・工事・保守は専門家が担当することを示した図。
図3:キュービクルは高圧受電のかなめ。点検・保守には専門家が必要です。

低圧から高圧への切り替え

事業を続けていくうちに、設備が増えたり、使う電気の量が増えたりして、低圧の契約では足りなくなることがあります。契約電力が50kWに近づいてきたら、高圧受電への切り替えを検討するタイミングかもしれません。高圧に切り替えると、電気の単価が下がり、長い目で見て電気代を抑えられる可能性があります。一方で、キュービクルの設置や保安管理の体制づくりが必要になります。

「うちの事業所は、低圧と高圧、どちらが有利だろう?」「高圧化には、どれくらいの費用がかかる?」——こうした判断は、電気の使用状況や、将来の事業計画をふまえて、慎重に行う必要があります。私たちのような電気工事店では、事業所の受電設備の新設・更新から、高圧化のご相談まで対応しています。専門的な部分は、ぜひプロにお任せください。最適な電気環境づくりを、お手伝いします。

まとめ

電気の受け取り方には、家庭向けの「低圧受電」、多くの事業所が使う「高圧受電」、大規模施設の「特別高圧受電」があります。高圧は電気の単価が安い反面、キュービクルの設置や、電気主任技術者による保安管理が必要です。事業所の規模が大きくなったら、高圧化の検討を。判断や工事は、専門家に相談するのが安心です。

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