
家の中でいちばん出番の多い電気設備——コンセント。実は、高さ・形・数のすべてに設計の考え方があります。内線規程と実務の知恵が積み上げてきた「コンセント学」を、今回はまとめてご紹介します。新築にもリフォームにも効く実用回です。
やさしい解説
まず高さ。一般の居室では床上25cm前後が定番ですが、これは絶対ではなく用途で変えるのが正解です。洗濯機用は水はねを避けて高めに、エアコン用は機器のすぐそば、デスクまわりは机上の高さに——「使う機器の指定席」から逆算します。腰をかがめずに抜き差ししたい場所を高めにする、というバリアフリーの視点も近年の定番です。
次に形。水まわりはアース端子つき(第46回)、屋外はふたつき防水型(第53回)、大容量機器には専用回路の専用形状(第34回)。そして数。1つの回路が受け持てる容量には限りがあり(第33回)、コンセントの数と回路の数はセットで計画します。内線規程の資料には部屋の広さに応じた数の目安も示されていて、「たこ足配線が生まれない家」を設計段階からつくるのが理想です。数は多めに——後から減らして困ることは、まずありません。

暮らし・現場との関わり
わが家の採点は簡単です。延長コードとテーブルタップの数を数えてみてください。数えた結果は、そのまま次の工事の設計図になります。多いほど、コンセントの数か位置が暮らしに合っていないサイン。とくにテレビまわり、デスクまわり、キッチンカウンターは、機器の増加にコンセントが追いつかない三大激戦区です。10年前の設計は、今の機器の数を知りません。
増設は、思いのほか手軽な工事です。壁の中の配線ルートしだいですが、半日で数か所という例も珍しくありません。掃除機用に廊下へ、季節家電用に和室へ、充電ステーションとして玄関へ——「ここに1つあれば」を実現するのが私たちの仕事です。使いにくい位置のまま我慢するより、暮らしに合わせて電気を動かしましょう。位置がひとつ変わるだけで、部屋の使い勝手は見違えます。
まとめ
コンセントは、高さ・形・数を暮らしから逆算して設計するもの。延長コードの数が、見直しのバロメーターです。次回は頭上の主役——照明器具の施設ルール、断熱天井とダウンライトの相性問題です。足元の設計の次は、頭上の設計です。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに、内容をやさしく要約したものです。個別の判断は一次情報や専門家にご確認ください。