「スマホは100%まで充電しないほうが電池にいい」「充電しながら使うと傷む」——こんな話を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。でも、それって本当なのでしょうか。毎日使うスマホだからこそ、電池はできるだけ長持ちさせたいですよね。今回は、スマホの電池のしくみをやさしくひもときながら、電池を長持ちさせる充電のコツを、正しく整理してお伝えします。
スマホの電池は「リチウムイオン電池」
スマホに使われているのは、「リチウムイオン電池」という種類の充電池です。軽くて小さいのにたくさんの電気をためられる、とても優秀な電池で、スマホだけでなく、ノートパソコンや電気自動車にも使われています。まさに、現代の暮らしを支える立役者です。
ただし、この電池には避けられない宿命があります。それは「使うほど、少しずつ弱っていく」こと。充電と放電をくり返すうちに、満タンにできる電気の量が、だんだん減っていくのです。つまり、電池は「消耗品」。新品のときはたっぷりもったのに、数年使うと電池のもちが悪くなるのは、この劣化のためなのです。
もう少しくわしく言うと、電池の中では、充電・放電のたびに小さな化学変化がくり返されています。その積み重ねで、内部の材料が少しずつ変質し、電気をためる力が落ちていくのです。これは、どんなに大切に使っても、ある程度は避けられない自然な現象。とはいえ、使い方しだいで、その進み方を大きくゆるやかにすることはできます。

電池を弱らせる「満充電」と「使い切り」
では、どんな使い方が電池を早く弱らせるのでしょうか。実は、リチウムイオン電池にとって負担が大きいのが、「100%の満充電」と「0%まで使い切る」という、両極端の状態なのです。特に、満充電のまま長時間放置したり、完全に使い切ってから放置したりすると、電池にストレスがかかります。
電池の寿命は、よく「充電サイクル」という回数で語られます。おおよそ、満充電と使い切りを何百回かくり返すと、新品時に比べて容量がはっきり落ちてくる、というイメージです。ここでもポイントは同じで、0%と100%の“フル往復”をなるべく減らすほど、この寿命を長く保てるというわけです。
逆に、電池にやさしいとされるのが、残量20〜80%くらいの範囲を保つ使い方です。冒頭の「100%まで充電しないほうがいい」という話には、こうした裏づけがあったのですね。とはいえ、いつも80%で止めるのは難しいもの。あまり厳密に考えず、「満タンや空っぽのまま長く放置しない」と意識するだけでも十分です。

もうひとつの大敵は「高温」
実は、充電のしかた以上に電池を傷めるのが「高温」です。リチウムイオン電池は熱にとても弱く、高い温度にさらされると、劣化が一気に進んでしまいます。「充電しながらゲームや動画を長時間楽しむ」と、スマホが熱くなりますよね。あれが、電池にとってはなかなかの負担なのです。
特に気をつけたいのが、夏場の車内への放置。真夏の車内は非常に高温になり、スマホの電池を一気に痛める危険があります。また、布団や枕の下で充電するのも、熱がこもって危険です。「充電しながら高負荷な使い方をしない」「暑い場所に置かない」——この2つを守るだけで、電池はぐっと長持ちします。
ちなみに、電池は極端な低温も少し苦手です。真冬の屋外で、スマホの電池が急に減った経験はありませんか。低温では一時的に性能が落ちますが、これはたいてい、暖かい場所に戻れば回復します。電池に長くダメージを残すのは、やはり「高温」のほう。一年の中では、夏場のほうがより注意が必要だと覚えておきましょう。
長持ちさせる充電のコツ
ここまでをふまえて、電池を長持ちさせるコツをまとめましょう。基本は「20〜80%を目安にする」「高温を避ける」の2つ。加えて、充電器は純正品や、安全性が確認された認証マーク付きのものを使うと安心です。極端に安い粗悪な充電器は、発熱や故障の原因になることがあります。
「こまめに充電すると電池が傷む」と心配する方もいますが、これは昔の電池の話。今のリチウムイオン電池は、少し減ったら継ぎ足す“こまめ充電”でまったく問題ありません。むしろ、極端に使い切るより、こまめに足すほうが電池にやさしいのです。安心して、気づいたときに充電しましょう。
「ワイヤレス充電や急速充電は電池に悪いの?」という質問もよく聞きます。どちらも便利な機能ですが、充電中に熱を持ちやすい面はあります。とはいえ、各社とも熱をおさえる工夫をしているので、過度に心配する必要はありません。もし充電中に熱くなりすぎると感じたら、ケースを外したり、風通しのよい場所に置いたりして、熱を逃がす工夫をしてみてください。
そして、ぜひ活用したいのが、スマホに備わっている「バッテリー充電の最適化」機能です。これは、使う人の生活パターンを学習して、満充電の状態が長く続かないよう、充電を賢く調整してくれる機能。設定でオンにしておけば、寝ているあいだの充電も、電池にやさしくコントロールしてくれます。まずはこの設定を確認してみてください。

神経質になりすぎなくても大丈夫
ここまで読んで、「充電のたびに残量を気にしなきゃ」と身構えてしまったかもしれません。でも、そこまで神経質になる必要はありません。今のスマホには、電池を守るための機能がしっかり備わっていて、多少ラフに使っても、そう簡単には壊れないように作られています。
数あるコツの中でも、いちばん効果が大きく、そして守りやすいのが「高温を避ける」こと。まずはここだけでも意識すれば十分です。スマホは、私たちの生活に欠かせない、頼れる相棒。あまり気を使いすぎず、でも「熱」にだけは気をつけて、長く元気に付き合っていきましょう。
なお、iPhoneなどでは、設定画面から「バッテリーの最大容量」を確認できます。この数字が80%を下回ってくると、電池のもちがはっきり悪くなってきたサインです。あまりに減ってきたら、電池交換を検討するのも一つの手。無理して使い続けるより、交換したほうが、結果的に快適に使えることも多いですよ。
最後に、安全面もひとつ。もし電池が異常にふくらんできたり、変に熱くなったりしたら要注意です。リチウムイオン電池は、まれに強い衝撃や不良によって発熱・発火することがあります。パンパンにふくらんだ電池は、無理に使い続けず、メーカーや専門店に相談しましょう。正しく使えばとても安全な電池ですが、異変には早めに気づくことが大切です。
まとめ
「スマホは100%まで充電しないほうがいい」というのは、半分ほんとうでした。リチウムイオン電池は、満充電や使い切りの状態、そして高温が苦手。理想は20〜80%を保ち、暑い場所を避けることです。とはいえ、こまめな充電は問題なく、最新のスマホには保護機能も充実しているので、神経質になりすぎる必要はありません。「熱に気をつける」を合言葉に、電池と上手に付き合ってくださいね。