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変圧器(トランス)とは?

2026.08.17
電気の用語集No.017「変圧器(トランス)」のサムネイル。鉄芯に2つのコイルを巻き6600Vを100Vに変えるイラスト。

変圧器(へんあつき)とは、交流の電圧を上げたり下げたりする装置のことです。英語ではトランス。発電所から家庭まで、電気の旅のあらゆる場面で活躍しています。

やさしい解説

しくみは、電磁誘導の応用です。鉄芯に2つのコイルを巻き、片方(一次側)に交流を流すと、磁界の変化を介して、もう片方(二次側)にも電気が生まれます。このとき、コイルの巻き数の比率どおりに電圧が変わるのがポイント。巻き数を半分にすれば電圧も半分、というぐあいに、狙った電圧を自在につくれます。

大切なのは、変圧器が使えるのは「交流だけ」ということです。電磁誘導は磁界の変化がなければ働かないため、向きが入れ替わり続ける交流でしか電圧を変換できません。「電圧を変えやすい」ことこそ、交流が世界の送電の主役になった最大の理由です。

いちばん身近な変圧器は、電柱の上にある円筒形の機器(柱上変圧器)です。バケツのようなあの筒の中で、配電線の6,600Vが、家庭で使う100V・200Vに変換されています。じつは家のすぐ近くで、最後の変圧が行われているのです。

電圧の変わり方は、巻き数の比そのままです。たとえば一次コイル660回巻き・二次コイル10回巻きなら66対1で、6,600Vはちょうど100Vに。設計図どおりに巻くだけで、狙った電圧が得られる——シンプルで美しいしくみです。

変圧器の変換効率は98〜99%ときわめて優秀ですが、日本中に膨大な数があるため、わずかな損失も合計すれば大きな量に。そこで、より損失の少ない高効率変圧器への切り替えが、国の省エネ施策としても進められています。

暮らしとの関わり・注意点

家の中にも、小さな変圧器はたくさん潜んでいます。スマホの充電器やノートパソコンのACアダプターの中には、100Vを機器用の低い電圧に変えるための小型トランスや変換回路が入っています。アダプターがほんのり温かいのは、変換のときにわずかな熱が生まれるからです。

海外旅行で使う「変圧器」も同じ仲間です。海外の220〜240Vを日本の機器用に下げるための道具で、形を合わせるだけの「変換プラグ」とは役割がまったく違います。ドライヤーなど消費電力の大きい機器は、変圧器の容量オーバーになりやすいので、海外対応品を選ぶのが安全です。

また、古い蛍光灯器具や機器の変圧器から「ジー」「ブーン」という低いうなり音が出ることがあります。これは交流の周波数で鉄芯がわずかに振動する音ですが、音が急に大きくなった場合は劣化のサインのことも。気になるときは点検をおすすめします。聞き慣れない音の変化は、機器からの小さなサインだと思って、早めの相談を心がけてください。

電柱の柱上変圧器は、中が絶縁油で満たされていて、変換で生まれる熱を冷ましながら働いています。長年働けば劣化もするため、電力会社は計画的に交換しています。「変圧器取替工事のため停電します」というお知らせが届いたら、それはこのバケツの世代交代。ほんの数時間の停電で、その先の何年もの安定供給が支えられているのです。

関連する用語

原理のもとは「電磁誘導」、交流の性質は「直流と交流」の項をどうぞ。変圧器がいちばん活躍する舞台である「送電と配電」「変電所」、家庭内の小さな変換器「ACアダプター」も関連用語です。

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