
導体(どうたい)は電気をよく通す物質、絶縁体(ぜつえんたい)は電気をほとんど通さない物質のことです。この2つの組み合わせが、電気を安全に使う土台になっています。
やさしい解説
銅、アルミ、鉄などの金属は、電気をよく通す導体の代表です。中でも銅は、電気の通しやすさと価格のバランスが良く、電線の芯材として広く使われています。いっぽう、ゴム、プラスチック(ビニル)、ガラス、乾いた空気などは、電気をほとんど通さない絶縁体です。
電線の断面を見ると、この2つの見事なコンビが分かります。中心には電気の通り道である銅線(導体)、そのまわりを包むのはビニルなどの被覆(絶縁体)。「通す素材」で電気を運び、「通さない素材」で人や周囲を守る——シンプルですが、これこそ電気を安全に使う基本原理です。
ちなみに、導体と絶縁体の中間の性質を持つのが「半導体」。条件によって電気を通したり止めたりできる材料で、スマホやパソコンの頭脳として現代社会を支えています。
導体にも「通しやすさランキング」があります。もっとも通しやすいのは銀、次いで銅、金、アルミの順。銀は高価なので、ふだんの電線には銅が使われます。軽さが命の送電線にはアルミが、さびに強い金は精密機器の端子メッキに——と、それぞれの持ち味で使い分けられています。
そして意外なことに、私たちを取り巻く「空気」も優秀な絶縁体です。ただし、雷のような桁外れの高電圧になると、絶縁が耐えきれず一気に電気が走り抜けます。これが「絶縁破壊」。あの稲妻は、空気という絶縁体が破られる瞬間の光なのです。
暮らしとの関わり・注意点
知っておきたいのは、「絶縁は永久ではない」ということです。コードの被覆は、長年の使用や折り曲げ、家具の下敷き、日光や熱で少しずつ劣化します。被覆が破れて中の導体がのぞくと、感電やショート、火災の危険に直結。傷んだコードは補修テープでしのがず、交換してください。
もうひとつ大切なのが「水」です。純粋な水は電気を通しにくいのですが、汗や汚れなどが混ざった身のまわりの水は電気を通しやすく、濡れた手での電気製品の操作は感電のもと。水まわりでの電気の扱いには、くれぐれもご注意ください。
電気工事のプロが通電部分の近くで安全に作業できるのは、絶縁手袋や絶縁工具といった「絶縁体の装備」で身を守り、検電器で電気の有無を確かめているからです。逆にいえば、装備も知識もないまま配線に触れるのは大変危険。コンセントや配線の作業は、必ず電気工事士にお任せください。
家電やコンセントまわりにも、絶縁の工夫はたくさん隠れています。プラグの刃の根元を覆う樹脂、スイッチやコンセントの樹脂カバー、そして「回」の字に似た四角二重のマークが付いた家電——これは「二重絶縁構造」の印で、内部の絶縁が二重になっている安心設計を表します。何気ない部品のひとつひとつが、感電から私たちを守ってくれているのです。絶縁は、目に見えないところで働く縁の下の力持ち。年に一度は、コードの傷みやプラグまわりのホコリを点検して、その働きを支えてあげてください。
関連する用語
電気の流れにくさを数字で表したのが「抵抗(Ω)」で、絶縁体は抵抗がきわめて大きい物質といえます。電線の構造は「被覆と心線」「VVFケーブル」の項で、絶縁の老化は「絶縁劣化」の項でくわしく解説します。