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深夜電力が安いのはなぜ?時間帯で変わる電気料金

2026.07.30

「深夜電力は安い」「夜のうちにお湯を沸かすとおトク」——こんな話を聞いたことはありませんか。同じ電気なのに、使う時間帯によって値段が変わるなんて、ちょっと不思議ですよね。実はこれには、電気ならではの、とても合理的な理由があります。今回は、深夜電力が安い仕組みと、それを上手に活かすコツを、やさしく解説します。ご家庭の電気代を見直すヒントにもなりますよ。

電気料金は、時間帯で変わることがある

まず前提として、電気料金には「いつ使っても同じ単価」のプランと、「時間帯によって単価が変わる」プランがあります。後者は「時間帯別プラン」などと呼ばれ、オール電化住宅向けのプランなどでよく採用されています。このタイプでは、深夜から早朝にかけての電気が割安に、その代わり日中の電気が割高に設定されているのが一般的です。

つまり、同じ1kWhの電気でも、真夜中に使うのと、昼間に使うのとで、値段が違うわけです。「深夜電力が安い」というのは、こうした時間帯別プランでの話。まずは、この仕組みがあることを知っておきましょう。では、なぜ夜の電気はわざわざ安く設定されているのでしょうか。

電力の自由化が進んだ今、料金プランはとても多彩になりました。時間帯別のほかにも、使う量が多いほど割安になるプランや、特定の曜日が安いプランなど、さまざまです。自分の暮らしに合わせてプランを選べる時代になった、ということ。だからこそ、「なんとなく」で契約したままにせず、ときどき見直してみることが大切なのです。

24時間の時間帯を横棒で示し、夜間(0〜7時、23〜24時)が割安、日中(7〜23時)が割高になる時間帯別プランのイメージを表した図。
図1:時間帯別プランでは、夜間の電気が割安に、日中が割高になります。

なぜ夜は安いの?「電気はためにくい」から

その答えのカギは、これまでも何度か出てきた「電気は大量にためておくのが難しい」という性質にあります。電気は、使う量に合わせて、そのつど発電所で作らなければなりません。作りすぎても、大量にためて後で使う、というのが難しいのです。

そして、電気の使われ方には、はっきりとした「山」と「谷」があります。多くの人が活動する昼間から夕方にかけては需要が大きく(山)、みんなが眠っている深夜は需要がぐっと小さくなります(谷)。この波に合わせて、発電所は稼働を調整しているのです。

この夜間割引は、実は昔からある仕組みです。夜も止めにくい大きな発電所では、需要の少ない夜間に、発電の余力が生まれます。その電気をむだにせず活用してもらうために、安い深夜電力が用意されてきました。夜のうちにお湯をためておく「エコキュート」のような機器が広まった背景にも、こうした事情があるのです。

電気の需要が昼から夕方に山となり夜間に谷となる24時間のカーブを示し、電気はためにくいため需要の少ない夜は発電に余裕があり、料金を安くして需要を平準化することを説明した図。
図2:電気の需要は昼が山、夜が谷。夜は発電に余裕があるので、安く使ってもらうのです。

需要の「山と谷」をならす工夫

需要が少ない夜間は、発電設備に余裕が生まれます。この余った力を眠らせておくのはもったいない。そこで電力会社は、夜間の電気を安く設定し、「よかったら夜に使ってくださいね」と、利用をうながしているのです。すると、昼に集中していた需要の一部が夜に移り、一日の使われ方が平らにならされます。

これは、電力会社にとっても、私たち利用者にとっても、うれしい仕組みです。電力会社は、昼のピークをおさえて発電設備を効率よく使え、利用者は安く電気を使える。混雑する時間を避けてもらうことで、みんなが得をする——電車のオフピーク割引などと、考え方はよく似ていますね。

深夜電力を活かすコツ

時間帯別プランを使っているなら、電気を使う家事を、できるだけ割安な夜間にまわすのがコツです。たとえば、夜のうちにお湯を沸かしてためておく「エコキュート」は、まさにこの仕組みを活かした代表選手。食器洗い乾燥機や洗濯乾燥機を、就寝前にセットして夜間に動かすのも効果的です。

電気自動車(EV)を持っているなら、寝ている間に充電しておけば、割安な電気でクルマを走らせられます。多くの家電にはタイマー機能がついているので、それを使えば、自分が起きて操作しなくても、自動で夜間に運転できて便利です。「夜に動かせるもの」を意識してまわすだけで、電気代にじわじわ差が出てきます。

深夜電力と特に相性がよいのは、「夜のうちにためて、昼に使う」タイプの機器です。お湯をためるエコキュートのほか、夜間に熱をためて日中に放熱する「蓄熱暖房機」などがその代表。さらに、家庭用の蓄電池があれば、安い夜間に電気をためておき、割高な昼にその電気を使う、という賢いやりくりもできます。「ためる」が、深夜電力活用のキーワードです。

ただし、夜間の運転で気をつけたいのが「音」です。洗濯機や食洗機の運転音が、ご近所や家族の迷惑にならないよう、時間帯には配慮しましょう。集合住宅などでは、特に注意が必要です。おトクさと、まわりへの気づかい。その両方を大切にしたいですね。

深夜電力を活かせる家電としてエコキュート・食洗機・洗濯乾燥機・EVの充電を挙げ、まず自分のプランを確認すること、昼在宅が多い家庭では注意が必要なことを示した図。
図3:夜に動かせる家電を割安な時間帯にまわすのがコツ。ただしプランの確認が先決です。

まず「自分のプラン」を確認しよう

ここで大切な注意点です。夜間割引の恩恵を受けられるのは、あくまで「時間帯別プラン」に加入している場合だけ。ごく一般的な「いつ使っても同じ単価」のプランでは、夜に使っても料金は変わりません。まずは、ご家庭がどんな料金プランに入っているのか、検針票や電力会社のサイトで確認してみてください。

そして、時間帯別プランは「夜が安いぶん、昼は割高」なことがほとんどです。日中に在宅していて、昼間に電気をたくさん使う家庭では、かえって割高になってしまうことも。「わが家の生活は、昼型か、夜型か」を考えることが、プラン選びの第一歩になります。

プランの見直しは、電力会社のウェブサイトや、料金の比較サービスを使うと便利です。過去の使用量(検針票やアプリで分かるkWh)を入れるだけで、どのプランが安くなるか試算できるものもあります。引っ越しや、家族構成の変化、EVの購入など、暮らしが変わったタイミングは、見直しの好機。ほんの数分の手間で、年間の電気代が変わることもありますよ。

どんな人に向いている?

時間帯別プランが向いているのは、たとえばオール電化の住宅、夜間にEVを充電する人、日中は外出していて夜に家事をまとめてする家庭など。逆に、日中ずっと在宅している家庭や、昼に冷暖房をよく使う家庭は、通常プランのほうが合っていることもあります。どちらが得かは、ご家庭の暮らし方しだい。一度、電気の使い方を振り返ってみると、最適なプランが見えてきます。

もうひとつ覚えておきたいのは、「夜が安いからと、使いすぎては本末転倒」ということ。いくら単価が安くても、必要以上に電気を使えば、電気代はかさみます。あくまで、もともと使う家事を「安い時間帯にずらす」のがポイントです。節約の基本は、時間帯にかかわらず「ムダを減らす」ことにある——これは、忘れずに心にとめておきたいですね。

まとめ

深夜電力が安いのは、「電気はためにくい」ため、需要の少ない夜に使ってもらって、一日の使われ方をならしたいから。時間帯別プランなら、エコキュートや食洗機、EV充電などを夜にまわすことで、上手に節約できます。ただし、その恩恵はプラン次第で、昼型の家庭には向かないことも。まずは自分のプランと生活スタイルを確認するのが、かしこい第一歩です。

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