
電気工事士法(でんきこうじしほう)は、「電気工事は資格のある人だけが行える」と定めた法律です。生まれは1960年(昭和35年)。目的はただひとつ、電気工事の欠陥による災害を防ぐことです。今回からのグループBでは、この法律がつくる「資格の世界」をご案内します。まずは土台となる法律の全体像からです。
やさしい解説
なぜ電気工事だけ、わざわざ法律で資格を求めるのでしょうか。理由は、工事の出来ばえが外から見えないからです。配線は壁や天井の中に隠れ、ねじ一本のゆるみも完成後には確かめられません。そして欠陥は、数年後に火災や感電という形で現れます。だからこそ「作る人の腕前」を国が前もって確認しておく——これが免許制の考え方です。この法律ができる前の復興期、粗雑な工事による電気火災は深刻な社会問題でした。
電気工事士法が用意する資格は大きく4種類。住宅や店舗など一般用の工事を担う「第二種電気工事士」、ビルや工場(500kW未満)まで守備範囲が広がる「第一種電気工事士」、高圧受電の建物内の低圧工事を受け持つ「認定電気工事従事者」、そしてネオンや非常用発電装置が専門の「特種電気工事資格者」です。どの建物のどんな工事を誰が担うか、持ち場があらかじめ決められている——そんな役割分担のしくみです。次回から1つずつご紹介します。

暮らし・現場との関わり
この法律は、プロだけでなく住まい手にも関わります。資格が要るのは「仕事として行う工事」だけではないからです。自分の家のコンセント増設を日曜大工で——これも、無資格なら法律違反になります。感電や火災のリスクは、施工者が誰であっても同じだからです(境界線は第16回、罰則は第19回で詳しく)。
工事を頼むときは、資格の確認を遠慮なくどうぞ。電気工事士には免状の携帯が義務づけられていますから、「免状を見せてください」は失礼でも何でもなく、法律が想定している正しいやりとりです。私たち工事店も、聞かれれば喜んでお見せします。免状は都道府県知事が交付する顔写真入りの証明書で、種類もひと目で分かるようになっています。
まとめ
電気工事士法は、見えなくなる工事の品質を「人の資格」で保証する法律。60年以上にわたって電気火災や感電事故を減らしてきた、縁の下の立役者です。次回は資格の入口、第二種電気工事士の「できる工事・できない工事」を見ていきます。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに、内容をやさしく要約したものです。個別の判断は一次情報や専門家にご確認ください。