
磁界(じかい)とは、磁石の力がはたらく空間のこと。そして、電気を流すと磁界が生まれる性質を利用した磁石が電磁石(でんじしゃく)です。電気と磁石は、切っても切れない深い関係にあります。
やさしい解説
磁石のまわりに砂鉄をまくと、きれいな模様が浮かび上がります。あの模様こそ、目に見えない磁界の姿。N極とS極の間に、磁力の通り道が広がっているのです。
19世紀のはじめ、デンマークの科学者エルステッドは、電線に電気を流すと、そばに置いた方位磁針がくるりと振れることを発見しました。電気が流れると、そのまわりに磁界が生まれる——電気と磁気がつながっていることを示す、歴史的な大発見でした。
この性質を利用したのが電磁石です。電線をぐるぐる巻いてコイルにすると磁界が重なって強まり、中に鉄芯を入れると、さらに強力な磁石になります。電磁石のすごいところは、電気を流している間だけ磁石になること。スイッチひとつで磁力をオン・オフでき、電流を増やせば磁力も強くできる、「自在にあやつれる磁石」なのです。
ちなみに、私たちが立っているこの地球も、じつは巨大な磁石です。方位磁針が北を指すのは、地球の磁界に引かれているから。渡り鳥が長い旅で道に迷わないのは、地磁気を感じ取っているためという研究もあります。磁界は、自然界にも張りめぐらされているのです。
電磁石の磁力は、コイルの巻き数を増やすか、流す電流を大きくするほど強くなります。この原理を極限まで突き詰めたのが、リニア中央新幹線の超伝導電磁石。強力な磁力で車体を浮かせて走る、電磁石技術の最高峰です。
冷蔵庫に貼るマグネットのような「永久磁石」と電磁石は、使い分けの関係にあります。ずっと磁力がほしい場所には永久磁石を、オン・オフや強さの調節が必要な場所には電磁石を——両者の合わせ技で、モーターをはじめ多くの機械が動いています。
暮らしとの関わり・注意点
電磁石は、家じゅうの家電で活躍しています。代表選手はモーター。扇風機も洗濯機も掃除機も、電磁石の磁力で回転する力を生み出しています。スピーカーやイヤホンも、電磁石で振動板をふるわせて音を出していますし、玄関のインターホンのチャイムにも使われています。
スケールの大きな例では、鉄スクラップ工場のクレーンがあります。巨大な電磁石で何トンもの鉄を吸い上げ、運んだ先でスイッチを切れば、ぱっと放せる。オン・オフできる磁石の便利さを、まさに絵に描いたような使い方です。
ひとつ注意したいのは、磁気に弱いものとの距離です。磁気を利用したキャッシュカードの磁気ストライプなどは、強い磁石に近づけるとデータが壊れることがあります。スマホ用の磁石アクセサリーが増えた今、カード類と磁石をひとまとめにしない、というのはちょっとした生活の知恵です。
家の中の「電磁石入り」の機器を数えてみるのも面白いですよ。モーターの入った家電(冷蔵庫・洗濯機・エアコン・扇風機・掃除機)、スピーカーの入った機器(テレビ・スマホ・イヤホン)……ほとんどの家電に、なにかしらの形で電磁石が入っています。
関連する用語
磁界の変化から電気を生み出す逆方向の現象が「電磁誘導」で、発電の原理そのものです。電磁石の力で回る「モーター」、磁力で鍋を発熱させる「IHクッキングヒーター」も、磁界の応用製品。あわせてどうぞ。