
送電(そうでん)は、発電所でつくった電気を高い電圧のまま遠くへ送ること。配電(はいでん)は、その電気を街の中で低い電圧にして配ることです。鉄塔の電線が送電線、電柱の電線が配電線、と覚えるのが近道です。
やさしい解説
電気を遠くまで運ぶときの合言葉は、「高い電圧で送るほど、ロスが少ない」。同じ電力なら、電圧を高くすれば流れる電流が小さくなり、電線の発熱によるムダをぐっと減らせるのです。そのため発電所を出た電気は、27万5,000〜50万Vという桁外れの高電圧に変換されて、鉄塔の送電線で旅立ちます。
その後、電気は変電所を通るたびに、段階的に電圧を下げていきます。15万4,000V、6万6,000V……と下がりながら街へ近づき、最後は6,600Vとなって、見慣れた電柱の配電線へ。ここからが「配電」の世界です。
そして家のすぐ手前、電柱の上の柱上変圧器で100V・200Vに変換され、引込線を通って各家庭へ届きます。発電所から蛇口(コンセント)まで、電圧をリレーのように下げ続ける壮大なしくみ——それが送電と配電のネットワークです。
豆知識をひとつ。送電の主役は交流ですが、海底ケーブルや超長距離の送電では「直流送電」も使われています。北海道と本州の間の連系線がその代表例。交流と直流、それぞれの得意分野を使い分けて、日本の電力ネットワークは編まれています。
高電圧で送る工夫のおかげで、発電所から家庭までの送配電ロスは、日本全体で約4〜5%に抑えられています。これは世界的に見ても優秀な数字。100の電気をつくったら、95以上がきちんと届いている計算です。
暮らしとの関わり・注意点
このしくみを知ると、停電のニュースも読み解きやすくなります。送電線や変電所のトラブルなら広い地域が一度に停電し、配電線のトラブル(倒木や飛来物など)なら、その一角だけが停電します。「うちの周りだけ停電している」ときは、配電レベルの不具合であることが多いのです。
安全面では、送電線・配電線のそばでの作業や遊びに注意が必要です。凧あげやドローン、釣り竿、アンテナ工事、庭木の剪定——電線に近づく行為は感電や停電事故のもと。切れて垂れ下がった電線には絶対に触れず、電力会社へ連絡してください。
ちなみに、日本の停電時間は年間でわずか数十分程度と、世界トップクラスの短さです。網の目のような送配電網と、日々の保守点検がその土台。あたりまえに電気が届く裏側には、この見えないリレーを守り続ける多くの技術者の仕事があります。
近年は、配電線を地中に埋める「無電柱化」も進んでいます。街の景観が良くなるだけでなく、台風や地震で電柱が倒れて道をふさぐ、といった災害リスクも減らせます。工事には時間と費用がかかるため、避難路となる重要な道路から順に、計画的に進められています。街の風景も少しずつ変わっていくかもしれません。ちなみに「電線にとまる鳥はなぜ感電しないの?」という定番の疑問は、雑学シリーズでくわしく解説していますので、ぜひあわせてどうぞ。
関連する用語
電圧を下げる中継基地「変電所」、最後の変換を担う「変圧器(トランス)」、家への最終区間である「引込線と幹線」の項もあわせてどうぞ。高電圧で送る理由は「電圧(V)」「電流(A)」の関係で説明できます。