
電磁波(でんじは)とは、電気と磁気が組み合わさって空間を伝わっていく波のことです。スマホの電波も、リモコンの赤外線も、太陽の光さえも——じつはぜんぶ、電磁波の仲間です。
やさしい解説
電気と磁気は、たがいに相手を生み出せる関係にあります。この連鎖が波となって、何もない空間さえも突き進んでいくのが電磁波です。その存在は19世紀にマクスウェルが理論で予言し、ヘルツが実験で証明しました。周波数の単位Hzは、このヘルツの名にちなんでいます。
電磁波は、波の細かさ(周波数)によって性質ががらりと変わります。周波数が低い順に並べると、ラジオやテレビ、スマホの「電波」、こたつやリモコンの「赤外線」、目に見える「可視光線」、日焼けのもとの「紫外線」、レントゲンの「エックス線」。ぜんぶ同じ電磁波の親戚で、違いは波の細かさだけ、というのは驚きですね。
電子レンジが食品を温められるのも、電磁波(マイクロ波)が食品中の水分を揺さぶるから。Wi-Fiの通信と電子レンジは近い周波数帯(2.4GHz帯)を使っているため、レンジ使用中にWi-Fiが不安定になることがある——というのは、ちょっと役立つ豆知識です。
「光も電磁波」というのは、なかなか衝撃的な事実です。電波も光も、真空中を秒速約30万km——1秒で地球を7周半——という同じ速さで進みます。夜空の星の光は、何年も何万年も前に星を出発した電磁波が、いま目に届いたもの。スマホの電波と星の光が同じ仲間だなんて、ロマンがありますね。
テレビのリモコンは赤外線、こたつやストーブのぬくもりも赤外線、そして冬のひなたの暖かさは太陽からの電磁波——リビングの中だけでも、私たちはさまざまな電磁波に囲まれて暮らしています。そう考えると、少し不思議な気分になりますね。
暮らしとの関わり・注意点
「家電の電磁波は体に悪くないの?」と心配される方もいますが、日本では電波法や各種指針にもとづき、身の回りの機器はじゅうぶんな余裕をもった基準内で管理されています。ふだんの暮らしで過度に恐れる必要はありません。
一方で、知っておきたい配慮もあります。心臓ペースメーカーなどを使っている方は、スマホを装着部位から15cm程度離すことが目安とされています(総務省の指針)。混雑した場所では密着を避ける、といった思いやりも大切です。
また、送電線や変電所の近くの電磁界についても、国の基準(電気設備の技術基準)で制限値が定められ、その範囲内で管理されています。正しい知識で、怖がりすぎず、あなどらず——電磁波とは、そんな距離感で付き合うのがちょうどよいのです。
通信の世界では、「高い周波数ほど、たくさんの情報を運べるが、遠くまで届きにくい」という性質があります。5Gや最新のWi-Fiが高い周波数帯を使って高速通信を実現しつつ、基地局やルーターを増やして距離の弱点を補っているのは、まさにこのトレードオフとの付き合い方。電磁波の性質を知ると、通信ニュースの見え方も変わってきます。
関連する用語
波の細かさを表す「周波数(Hz)」は、電磁波を理解するカギです。電気と磁気の関係は「磁界と電磁石」「電磁誘導」の項をどうぞ。マイクロ波で温める電子レンジの話は、雑学シリーズ「電子レンジはなぜ食べ物だけ温まる?」でくわしく紹介しています。