
配線の安全は、電線の太さから始まります。すべての電線には「ここまでなら安全に流せる」という電流の上限——許容電流があり、内線規程はこの選び方を細かく定めています。目安を知っておくと、電気工事の話がぐっと分かりやすくなります。電線は、家の血管にあたる存在だからです。
やさしい解説
電線に電流が流れると、抵抗のぶんだけ熱が生まれます。細い電線に大きな電流を流せば、発熱は急増。被覆が劣化し、最悪は火災に至ります。そこで太さごとに許容電流が決められています。住宅で多いVVFケーブルなら、直径1.6mmでおおむね18A、2.0mmで23Aが目安です(施工条件によって変わります)。たった0.4mmの差でも、流せる電流には確かな差が生まれるのです。
大切なのは、この数値が「使い方しだいで目減りする」こと。電線を何本も束ねて施設すると熱がこもるため、許容電流は下げて見積もります。周囲の温度が高い場所も同様です。だから設計では、つなぐ機器の合計容量に加えて、配線の距離(電圧降下——第36回で詳しく)や施工方法まで考えて太さを選びます。「計算上ぎりぎり」ではなく「余裕をもって太めに」。これがプロの流儀であり、内線規程の精神でもあります。「もう1サイズ太く」の一言が、10年後の安心を買います。

暮らし・現場との関わり
この話、実は延長コードにもそのまま当てはまります。細いコードで大容量の暖房機を使えば、コードは静かに発熱します。「コンセントまわりが温かい」「コードが柔らかくなっている」と感じたら、容量オーバーのサインかもしれません。定格1,500Wの表示は、コードの許容電流から来ている数字なのです。巻いたまま使うコードリールが熱を持ちやすいのも、同じ理屈です。
リフォームや増改築で「昔の配線のままエアコンだけ大きく」という場面も要注意。機器が新しくなるほど、配線側の体力が問われます。配線の太さは外から見えないからこそ、増設や交換のときは必ず配線とセットでご相談ください。配線は住まいの体力そのもの——リフォームの機会に一度、健康診断をおすすめします。
まとめ
電線は太さで実力が決まり、使い方で実力が目減りする。だから内線規程は選び方を細かく定めています。次回は、その電線たちをどう班分けするか——分岐回路の原則です。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに、内容をやさしく要約したものです。個別の判断は一次情報や専門家にご確認ください。