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V2H(クルマから家へ給電)って何?

2026.09.01

前回、太陽光+蓄電池の話の中で、「V2H(ブイ・ツー・エイチ)」という言葉が出てきました。なんだか近未来的な響きですが、これは、電気自動車(EV)を、家の大きな電源として使えるようにする、とても便利なしくみです。電気代の高騰や、災害への備えが気になる今、じわじわと注目を集めています。今回は、このV2Hとは何なのか、どんなメリットがあって、使うには何が必要なのかを、わかりやすく解説します。

V2Hとは?

V2Hとは、「Vehicle to Home」の略で、日本語にすると「クルマから家へ」という意味です。その名のとおり、電気自動車にためた電気を、家に送って使えるようにするしくみ(およびその機器)のことをいいます。ふだん、EVは「家からクルマへ」電気を送って充電しますよね。V2Hは、その逆——「クルマから家へ」も電気を流せるようにする、双方向のやりとりを可能にするのです。

ここで注目したいのが、EVの電池の大きさです。電気自動車のバッテリーは、家庭用の蓄電池にくらべて、はるかに大容量。車種によっては、家庭用蓄電池の何倍もの電気をためられます。つまりV2Hを使えば、この大きな電池を、「動く蓄電池」として家で活用できるということ。走るための電気を、暮らしの電気にも回せる——これがV2Hの、いちばんの面白さです。

数字で見ると、その大きさがよくわかります。家庭用の据え置き蓄電池が、おおむね5〜16kWh(キロワットアワー)ほどなのに対し、電気自動車の電池は、車種によっては40kWh前後、あるいはそれ以上のものもあります。一般的な家庭が1日に使う電気は10kWh前後が目安とされますから、EVを満充電にしておけば、使い方をおさえれば数日分の電気をまかなえる計算になります(あくまで目安で、車種や使い方によります)。この頼もしさが、V2Hの大きな魅力です。

V2HはVehicle to Homeの略で、ふだんの家からクルマへの充電に加え、クルマから家へも電気を送れる双方向のしくみであり、EVの大きな電池が動く蓄電池になることを示した図。
図1:V2Hは「クルマから家へ」も給電できるしくみ。EVが動く蓄電池に。

V2Hのメリット

V2Hのメリットは、大きく3つあります。ひとつめは、災害や停電への備えです。停電が起きても、EVにためた電気を家に送れば、いつもどおりの暮らしを続けられます。EVの電池は大容量なので、車種によっては、数日分の電気をまかなえることもあります。冷蔵庫を動かし、照明をつけ、スマホや情報機器を使う——災害時に「電気がある」という安心感は、何にも代えがたいものです。

ふたつめは、電気代の節約です。電気料金が安い夜間にEVを充電しておき、料金が高い時間帯には、そのためた電気を家で使う。こうした「ピークシフト」で、電気代を抑えられます。みっつめは、太陽光発電との相性の良さ。昼間に太陽光でつくった電気をEVにため、夜にその電気を家で使えば、自給自足の割合がぐっと高まります。前回お話しした「買う電気を減らす家」を、EVの大きな電池が力強く後押ししてくれるのです。

1日の流れでイメージしてみましょう。昼、家にいる間は、屋根の太陽光で発電し、余った電気をEVにためる。夕方から夜は、そのEVの電気を家で使い、電力会社からはほとんど買わない。そして、もし停電が起きても、EVの電気で乗りきれる。太陽光・蓄電池・EVがそろえば、こんな暮らしが現実味を帯びてきます。V2Hは、その全体をつなぐ「かなめ」の役割を果たしているのです。

V2Hのメリットとして、災害・停電の備え(数日分をまかなえる)、電気代の節約(ピークシフト)、太陽光と好相性(自給自足率アップ)の3つを示した図。
図2:V2Hの3つのメリット。EVの大容量バッテリーを暮らしに活かせます。

V2Hを使うには

では、V2Hを使うには、何が必要なのでしょうか。まず欠かせないのが、「V2H機器(充放電器)」です。これは、クルマと家をつなぎ、電気を出し入れするための専用の機器。EVを充電するだけの設備とは違い、双方向に電気を流せるようになっています。この機器を、自宅の駐車場などに設置します。

次に、V2Hに対応した電気自動車が必要です。すべてのEVが対応しているわけではないので、導入を考えるなら、お持ちの(あるいは購入予定の)車種が対応しているかを、必ず確認しましょう。そして、V2H機器の設置には、電気工事士による工事が必要です。機器そのものは高めの価格ですが、国や自治体の補助金が使える場合もあり、うまく活用すれば負担を抑えられます。

V2Hを使うには、V2H機器(充放電器)が必要、V2Hに対応したEVが必要、設置には電気工事が必要(補助金が使えることも)という3点を示し、電気工事店に相談をと案内する図。
図3:V2Hに必要なもの。EVと太陽光があるなら、相性ぴったりです。

これからの暮らしと、V2H

V2Hは、「クルマ」「電気」「住まい」という、これまで別々だったものを、ひとつにつなぐしくみです。EVはただの移動手段ではなく、大きな電源にもなる。家は、電気を買うだけの場所ではなく、つくって・ためて・使う場所になる。こうした新しい暮らしの形が、V2Hによって、少しずつ現実のものになってきています。とくに、すでにEVと太陽光発電の両方をお持ちの方にとっては、その価値を最大限に引き出す、有力な選択肢といえるでしょう。

いっぽうで、V2Hならではの注意点もあります。それは、クルマで出かけている間は、当然ながら、その電気を家では使えないということ。据え置きの蓄電池なら、いつでも家にありますが、EVは「動く」ぶん、家をあけるときには電源も一緒に出ていきます。また、家の電源として頻繁に使うと、そのぶんクルマの電池の消耗が進む可能性もあります。「ふだんは移動に使い、いざというときや、うまく回せるときに家でも活用する」——そんなバランスで考えるとよいでしょう。

もちろん、導入には機器や工事の費用がかかりますし、効果はご家庭の状況によって変わります。「わが家に合うだろうか」「どれくらいのメリットがありそうか」を知るには、専門家に相談するのがいちばんの近道です。私たちのような電気工事店では、V2Hの導入が可能かどうかの確認から、機器の選定、設置工事まで対応できます。EVと暮らしをつなぐ一歩を、いっしょに考えさせてください。

まとめ

V2Hは、「Vehicle to Home」——電気自動車にためた電気を、家で使えるようにするしくみです。EVの大容量バッテリーを「動く蓄電池」として活用でき、災害時の備え、電気代の節約、太陽光との組み合わせなど、多くのメリットがあります。使うにはV2H機器と対応EV、そして電気工事が必要です。EVと太陽光がある暮らしなら、ぜひ検討したい選択肢。

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