
変電所(へんでんしょ)とは、送られてきた電気の電圧を変えて、次の区間へ送り出す中継基地のことです。発電所と家庭の間には、いくつもの変電所がバトンのように連なっています。
やさしい解説
発電所を出た電気は、数十万Vという超高電圧で送電線を旅します。しかし、そのままでは街では使えません。そこで、超高圧変電所→一次変電所→配電用変電所……と、変電所を経るごとに電圧を段階的に下げ、最終的に6,600Vの配電線として街へ送り出します。長い坂道を、階段で一段ずつ降りていくイメージです。
変電所の主役は、ずらりと並んだ大型の変圧器です。フェンスの中に、がいし(絶縁の白い部品)や機器が林立するあの風景は、まさに電圧を変えるための設備群。ブーンという低い音は、変圧器が働いている音です。
変電所には、電圧を変える以外にも大切な役割があります。それが電気の「交通整理」。落雷などで送電線に事故が起きたとき、遮断器という大型のスイッチで故障区間だけを素早く切り離し、停電の範囲を最小限に抑えます。電気の流れを監視し、安定して届け続けるための司令塔でもあるのです。
電圧の下がり方を数字で追うと、たとえば50万V→15万4,000V→6万6,000V→6,600V→100Vと、およそ5段階。発電所を出た電気は、いくつもの変電所で身支度を整えながら、少しずつ「家庭サイズ」になっていくわけです。
ちなみに、電車の世界にも専用の変電所があります。鉄道会社は沿線に変電所を設け、架線に電気を送って電車を走らせています。街の変電所と役割は同じ。電気で動くものの裏には、必ず変電のしくみが控えているのです。
変電所や鉄塔でよく見かける、白い陶器の連なった部品は「がいし」といいます。高電圧の電線を、鉄塔や機器から絶縁しながら支える大切な部品で、あの独特のひだ模様は、雨の日でも電気が表面を伝いにくくするための工夫です。よく見ると、場所によって大きさや段数もさまざまです。
暮らしとの関わり・注意点
変電所は、意外と身近な場所にあります。街なかの一角にある屋外型のほか、都市部ではビルの中や地下に収められた変電所も。景観に配慮して、外からはそれと分からない建物になっていることもあります。
言うまでもなく、変電所の中は数万Vの高電圧の世界。フェンスを越えて立ち入ることは、命に関わる危険行為です。ボールやドローンが中に入ってしまっても、決して自分で取りに入らず、看板に書かれた電力会社の連絡先へ電話してください。
ちなみに、工場や大きなビルが自前で持っている「キュービクル」という金属の箱は、いわばミニ変電所です。6,600Vで受け取った電気を、施設内で使う電圧に下げる設備で、役割は変電所の弟分。事業所の電気を支える縁の下の力持ちです。
お子さんの自由研究などでは、電力会社の施設見学やバーチャル見学が役立ちます。ふだんフェンス越しにしか見られない変電所の中身を知ると、停電復旧のニュースで「変電所の復旧作業中」と聞いたときにも、何が行われているのかイメージできるようになりますよ。
関連する用語
電気の旅の全体像は「送電と配電」、電圧を変えるしくみは「変圧器(トランス)」の項をどうぞ。事業所のミニ変電所「キュービクル」、電気を受ける方式の「低圧受電と高圧受電」も、つながりの深い用語です。