
家の中には2種類の「線」が走っています。電気を運ぶ電力線と、情報を運ぶ弱電流電線——LANケーブル、電話線、インターホン、テレビのアンテナ線などです。内線規程は、この2つを離して施設するよう求めています。今回は、その距離感の理由を探ります。電気と情報、どちらも快適な住まいの生命線です。
やさしい解説
理由は2つあります。ひとつは安全のため。もし電力線と弱電流電線が接触して電気が流れ込めば、弱電側の機器は壊れ、感電や火災のおそれも生まれます。だから直接ふれないように離す、仕切る、別の管に入れる——物理的な距離を確保するのが大原則です。弱電側は電圧が低く、想定外の電気にはとても弱いのです。
もうひとつは、品質のためです。電力線に電流が流れると、まわりにはわずかな電気的ノイズが生まれます。弱電流電線がぴったり並走すると、このノイズが乗り移り、通信の乱れや雑音の原因に。電気は届いているのに、情報が汚れる——これが並走の副作用です。強電と弱電を分けて配線する作法は、安全と通信品質、二つの意味を持っています。ノイズは目に見えないだけに、最初の配線計画がものを言います。

暮らし・現場との関わり
「LANがなぜか遅い」「インターホンにブーンという雑音が入る」「テレビの映りがときどき乱れる」——こうした症状の裏に、配線の並走が隠れていることがあります。とくに後付けの配線を、既設の電力線と同じすき間に無造作に通した場合は要注意。機器を疑う前に、線の通り道を疑ってみる価値があります。配線図が残っていれば、原因探しはずっと早くなります。
これからの住まいづくりでは、情報配線の計画がますます大切です。在宅ワーク、ネット動画、スマート家電——弱電の主役は増える一方。新築やリフォームの際は、コンセントの位置と一緒にLANや空配管の計画も立て、強電と弱電の通り道を最初から分けておくのが理想です。電気と情報、両方の図面を描ける工事店にご相談ください。将来の機器の入れ替えまで見据えた計画が、いちばんの節約になります。
まとめ
電力線と弱電流電線は、離して・仕切って・別の管で。安全と通信品質を同時に守る作法です。線の世界にも、ほどよい距離感があるのです。グループDの締めくくりとなる次回は、「見えなくなる場所」の配線に課された制限のお話です。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに、内容をやさしく要約したものです。個別の判断は一次情報や専門家にご確認ください。