
無資格工事の罰則——資格なしで電気工事をするとどうなるのでしょうか。答えは、電気工事士法により3か月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金です。「自分の家だから大丈夫」は通用しません。今回は罰則の中身と、罰則よりももっと大切なことのお話です。シリーズの中でも、特に知っておいていただきたい回です。
やさしい解説
電気工事士法は、資格のない人が電気工事の作業をすることをはっきり禁じています。違反すれば3か月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金(拘禁刑は2025年6月から始まった新しい刑の名前で、それまでの懲役・禁錮を一本化したものです)。この禁止は「仕事として」に限りません。自宅の日曜大工でも対象になる——ここが、この法律のいちばん誤解されやすいところです。
金額だけ見ると軽く感じるかもしれません。しかし本当の代償は別のところにあります。第一に、火災・感電の危険。欠陥は施工の瞬間ではなく、数年後に現れます。第二に、保険の問題。火災の原因が無資格工事と判断されると、保険金が支払われないおそれがあります。第三に、家を売るときの説明責任やトラブル。罰則は入口にすぎず、背負い込むリスクの全体はずっと大きいのです。万一事故が人に及べば、刑事・民事の責任という重い扉も開きかねません。

暮らし・現場との関わり
動画やSNSには「コンセント交換は簡単」という情報があふれています。技術的に「できそう」と、法律上「してよい」は別問題です(境界線は第16回をどうぞ)。また、内装業者が電気工事だけ無資格でこなしてしまう例も、残念ながら耳にします。見積書に電気工事の資格者名や業者の登録番号(第21回でご紹介予定)を書けるかどうか——依頼前のひと言が、良い業者を見分けるふるいになります。登録のある業者かどうかは、営業所に掲げられた標識でも確認できます。
もし過去の日曜大工に心当たりがあっても、どうぞ責めずにご相談ください。絶縁抵抗の測定などで安全を確かめ、必要な部分だけ手直しできます。工事店は「駆け込み寺」として使っていただくのがいちばんです。点検だけのご依頼も、もちろん歓迎です。
まとめ
罰則は3か月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金。けれど本当に守りたいのは、体裁ではなく家と命です。次回はグループBの締めくくり——資格を持つ側に課された、3つの義務のお話です。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに、内容をやさしく要約したものです。個別の判断は一次情報や専門家にご確認ください。