接地(アース)があれば感電しない?

個人のお客様宅へ訪問すると、築年数にもよりますがホーム分電盤にアースがない場合がございます。住宅などで最低限度必要に感じるのは水回りにあるコンセント(洗濯機コンセント、トイレコンセント、台所付近のコンセント、エアコンコンセント、電子レンジ等々)や、単相200V回路のコンセントなどです。

中には一見アース付きコンセントが接地されていても、コンセント内部にアース線が接続されていないケースもございました。

最近の住宅では、ホーム分電盤に接地工事が施されていますが、築年数の経った木造住宅では接地工事がされていない場合がございますので、ご不安な場合は是非お問い合わせください。

1. 接地の目的

接地の主な役割は、異常な電流や漏電が発生したときに、安全に電流を地面に逃がすことです。これにより、電気機器やシステムが感電や火災を引き起こすリスクを低減します。

  • 漏電時の保護:電気機器や配線で絶縁が破れて漏電が発生した場合、接地があれば電流が地面に逃げ、感電や火災を防ぐことができます。
  • 過電流時の保護:回路内で短絡などの異常が発生した際に、接地は過電流を地面に逃がし、設備の破損や火災のリスクを減少させます。

2. 接地が感電を完全に防げない理由

接地は感電リスクを減らしますが、完全に感電を防ぐことはできません。理由は以下の通りです:

  • 人体が回路の一部になる場合:接地されていても、人体が電気の流れる道(電気回路の一部)に含まれる場合、電流が体を通過することで感電します。例えば、接地された電気機器の金属部分に触れた際、他方で故障した機器や導線に触れると、体を通して電流が流れる可能性があります。

  • 絶縁の破れ:適切に絶縁されていない配線や機器に触れた場合、接地があっても人体が直接電気に触れる可能性があり、感電のリスクが高まります。

  • 高電圧の影響:高電圧の場合、接地が存在していても、人体に危険な電流が流れる可能性があります。特に、高電圧の回路では、電気が空気中を通ってアーク(放電現象)を発生させ、直接触れていない場合でも感電のリスクがあります。

3. 感電防止のための追加対策

接地だけではなく、以下の対策も感電を防ぐために非常に重要です:

  • 絶縁材料の使用:絶縁されたケーブルや機器を使用することで、人体が電気に直接触れることを防ぎます。

  • 漏電遮断器(RCD、GFCI):漏電遮断器は、漏電が発生した際に回路を即座に遮断し、感電や火災を防止します。特に感電リスクの高い場所では重要です。

  • 安全な作業習慣:電気作業を行う際には、適切な保護具を着用し、電気を切るなどの安全手順を守ることが重要です。

  • 二重絶縁:電動工具や家庭用電気製品の多くは、二重絶縁を施しており、内部の電流が外に漏れないようにする追加の保護を提供しています。

4. 接地と感電のメカニズム

電流は通常、電圧の高いところから低いところ、または接地された道を通って流れます。接地が適切に施されていれば、漏れた電流は人体を経由せず、地面に逃げやすくなります。しかし、もし人体が高電圧の部分に触れ、同時に接地されていない金属や別の導電体にも触れてしまうと、電流が人体を経由して流れ、感電することになります。

感電する状況の例:

  • 片手で接地された機器に触れ、もう片方の手で漏電した電線に触れる:この場合、電流が人体を通って流れます。

  • 湿度の高い環境で感電リスクが高まる:湿度が高いと絶縁が弱まり、人体が導電体として機能しやすくなり、感電のリスクが高まります。

まとめ

接地は感電や火災リスクを低減するための重要な安全対策ですが、感電を完全に防ぐものではありません。感電のリスクを防ぐためには、接地に加えて絶縁や漏電遮断器の使用、作業手順の厳守など、複数の安全対策を組み合わせることが必要です。