先日、休日にバイクでツーリングに出かけてるいる際に急な雨に降られしまいました。
途中で停まれるところもなくしばらく雨に打たれながら走行し、少ししてコンビニがあったのでそこで一端雨宿り。
ナビ代わりに使用していたスマホを見てみると充電が残りわずか。
急いで充電しようとケーブルを接続すると画面に「液体検知」と言う警告が表示されてしまいました。
どうやら充電部が雨で濡れてしまったようです…
ナビに使っているからこのままスマホが使えないと困ってしまう。そう思いながら慌ててわずかなバッテリーにもかかわらずネットで対応策を調べていると「ワイヤレス充電」の存在を思い出したのです。
普段はスマホカバーをしているからほぼ使う事の無いワイヤレス充電器を少し離れた家電量販店へ行って購入し、なんとか事なきを得ました。
ワイヤレス充電の機能にここまで感謝した瞬間はありませんでした。
そんなワイヤレス充電の技術も筆者が知らないうちに大変進歩しておりました。
今回はそんなワイヤレス充電についてお話ししたいと思います。
ワイヤレス充電規格「Qi」とは
ワイヤレス充電の存在自体はもう皆さんもご存じのことと思います。私たちの生活の中で一番馴染み深い物で言えば前述の「スマホ」がやはり最初に思い浮かぶのでないでしょうか。
2011年頃から非接触充電規格「Qi」(チー)が搭載されたAndroid端末が登場し始め、2017年に発売されたiPhone8でも「Qi」が採用されるようになりました。
この頃よりワイヤレス充電の知名度は大きく広がり、それに関連した様々な製品が出回るようになったと記憶しております。
他にもスマートウォッチやイヤホンなど多くの製品にも採用されている技術です。
ではそもそもこの「Qi」とななんなのでしょうか?
「Qi」はワイヤレス充電や無線給電、非接触給電とも呼ばれる、ケーブルを接続することなくスマートフォンなどを充電できる規格です。
これは「ファラデーの電磁誘導の法則」を利用して電気を発生させています。
具体的には、電気を送る側の本体には送電用のコイル、スマートフォンなど充電する側の端末には受電用のコイルが組み込まれており、この送電用のコイルに電気を流すと磁界(磁束)が発生し、受電用のコイルがその磁界に近づくと、その磁界を打ち消すための誘導起電力が発生します。
「Qi」とは、この誘導起電力を使い端末に充電するのです。
しかしこの仕組みの欠点があり、送電用のコイルと受電用のコイルの位置がある一定の距離にないと充電出来ないのです。
今も進むワイヤレス充電の過去と未来
ワイヤレス充電はかなり以前からその可能性を模索する動きがあり、古くは1900年代初頭にはニコラ・テスラと言う人物が提唱した『世界システム』と言う無線による送電システムの研究のため、ニューヨーク州ロングアイランドにかつて存在したウォーデンクリフ・タワーより無線による送電実験が行われた。
残念ながらこの実験は失敗に終わり、この計画は打ち切りとなってしまいました。
しかし、発明という物はコンピュータにしてもエアコンにしても全てにおいては実用化された軌跡は同じです。
我々が手にする20~30年前に基礎理論が存在し、その後試験運用を行われ実用化される。
1900年代にテスラの残した理論は時を得て現代になってその日の目を見ようとしているのです。
現在、ワイヤレス充電で実用化しているのは前述のスマホであったりスマートウォッチなどのような小型の物ばかりです。
しかし今後はもっと大きな物への実用化も期待されております。
その代表的な例がEV車です。
EV車のワイヤレス充電と聞いてもどのような充電になるのかイマイチ想像できないと言う方もいらっしゃるかもしれませんがもう既にある程度試験的な段階までその研究は進んでおり国内外とわず様々メーカーから発表されております。
EVの普及を推進する欧州のBMW社などでは車両底面部に給電パッドを搭載し充電ポイントでの充電を可能にしました。
国内でもいくつかのメーカーが同様の技術を実用レベルまでにし、さらに進歩したERS(電化道路)という取り組みも進んでおります。これは道路上に給電装置を設置し、給電をしながら走行するという物です。
こちらも既に行動実証試験が行われており、一部のエリアに限られますがそれを実証しております。ただ現時点ではまだ法整備の関係で実用化は出来ないそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はワイヤレス充電とその未来についてお話しさせて頂きました。
現在の技術、そして今後予想される将来と、さらなる進歩を遂げた未来。かつてニコラ・テスラが夢見た電線のない世界もいずれ訪れるのかもしれません。
筆者としてはそんな未来に期待する一方、電気工事士としてそんな日が来てしまったらどうしようという不安もあるなんとも複雑な心境ではあります…。