LEDと蛍光管 紫外線のはなし

先日、熊谷市のお客様より照明器具についての問い合わせを頂き、状況の調査のためご自宅へお邪魔させて頂きました。

状況としましては古くて点かなくなったサークライン(円環状)の蛍光管を新しいものに交換しても照明が付かないので調べてもらいたいというものでした。調査を行い、電圧などのチェックも行いましたがどうやら照明器具本体自体の故障のようで、今回は照明器具をLEDのものに交換することとなりました。

やはりこういったLED照明に関するお問い合わせというのは定期的に頂いたりし、実際に施工もさせて頂いておりますが、筆者も仕事柄数多くやっているからなのか、LED照明が一般的に普及してから約10年前後、かなり浸透していると思っておりました。
しかしながら、やはり公共施設や商業店舗、ここ数年内の新築などでない場合は今回のように故障などの理由で交換しない限り、まだLED化はされていないところは多いのだなと感じました。

そんな中、LED照明についていろいろと思案を巡らせていたとき、ふと以前に電気に関する情報誌で「LEDの紫外線」といった内容のトピックスを目にしたことを思い出し、今回はそのことについ触れていこうと思います。

また、以前に本ブログにて今回の内容とは少し違いますが「電撃殺虫器」についての話題を取り上げたことがあり、その中でも少し紫外線についての話題に触れておりますので本文と併せて読んで頂ければ幸いです。

前置きが長くなってしまいましたが早速本題に移りたいと思います。


・照明の紫外線って?

そもそも照明器具の紫外線とは何のことなのかという方も少なからずいらっしゃると思いますのでまずはそのあたりからご説明させていただきます。
紫外線(UV)と聞くと夏などの直射日光の中に含まれ、人体の特に肌などへの悪影響は一般的に知られているところで美容や医学等に関して造詣の深い方などはさらに詳しいことでしょう。
そんな紫外線は一般的な蛍光管タイプからわずかながら発生しております。
その理由は蛍光管の発光原理によるものです。

蛍光管はあのガラス製の管の中に低圧の水銀ガスが封入されており、その水銀ガスに大量の電子をぶつけることで紫外線を発生させます。
そしてその発生した紫外線はガラス管に塗布されている白い蛍光物質と接触し、可視光線として発光します。
その際にほんの数%という割合ではありますが紫外線が放射されおります。
夜間に屋外の自動販売機などに小さな虫が集まりやすいのも中で使用されている蛍光管から発生している紫外線が原因です。


・LEDには紫外線が発生しない?

それでは蛍光管と比べて見た場合、LED照明の方はどうなのでしょうか。
そもそもLED照明は蛍光管とは全く違った発光方式を採用しているため、先述のような紫外線を発生させるような過程がありません。

その仕組みはp型半導体とn型半導体という2つの半導体を接合したp-n接合が作られ、その素子の順方向に電圧をかけると双方が結合し消滅します。この際に電子が高エネルギーから低エネルギーに移行するためその時に出来た余剰エネルギーが光のエネルギーとして外に放出されます。
これが一般的に言われる発光ダイオード(LED)の発光原理となります。

そのために通常に市販されているLED照明器具では紫外線がほぼ発生していないと言うことになります。

ただし、上記でも「通常に市販されている」と前置きをしましたがそれは、一部特殊な場合もあり、近紫外LEDや紫色LEDにより赤、緑、青色の蛍光体を発光させるものなどの特別な用途に使用されるLEDは発光原理が蛍光管などと同じなため紫外線を発生させます。
しかしこれらは特殊な光学式センサーの光源など私たちが生活を営んでいる中でほとんど関わりのないもので使用されている程度で、実質的にLEDからの紫外線の影響を受けることはほぼありません。


・紫外線がなくなることでどう変化する?

たとえば紫外線が発生する蛍光管を紫外線の発生しないLED照明器具に交換した場合、どういった変化がみられるでしょうか。
そのいくつかをご紹介いたします。

①虫が寄りつかない。
先述でも少し触れましたが紫外線には虫が非常に寄りつきやすいです。理由としては人間と虫の可視可能光線の違いにあります。
人間は赤・青・緑という3種類の色を認識する事が可能であり、紫外線は不可視光線になりますが虫は人間と違い、紫外線は可視光線となっています。
そして虫には「正の走光性」という明るい光に向かって寄ってくる習性があります。
そのため、夜などの暗い時に紫外線の光を頼りに虫が集まってくると言うのが理由になります。

この内容からお分かりいただける通り、LED照明器具に換える事で紫外線の発生がほぼ無くなり、虫が寄りつく事は大幅に減少します。

これに伴った具体的なメリットとしましては店舗の食品保冷ケースや商業用ショーウィンドウへの虫の寄りつきを防ぎます。
特に食品などに関わるケースなどは虫やそういったものの死骸などがいるのは衛生的にも商業的にも非常に不快に感じる方が多いと思われますし、大きなデメリットであると思われます。
たとえば夜に自動販売機などで飲み物を買おうとしたときに虫がたくさんいると買うのを躊躇ってしまいますよね。
そのような事も紫外線の発生しないLED照明器具に変更することで大幅に解決いたします。


②眼・肌などの人体への影響
正直なところ、こちらに関してはほとんど影響と言えるほどのものはありません。実際の所、蛍光管から放出されている紫外線量は屋外で浴びる太陽の直射日光に含まれる紫外線量の約1000分の1程度といわれております。ですので人体に対する悪影響などという大げさなレベルではありませんがわずかでも発生していると言う事実があるのでLED照明に交換してそれをなくせれば「さらに良い」という意味も込めて載せさせていただきました。

いかがでしたでしょうか。今回は蛍光管とLED照明における紫外線との関係とその仕組み、影響などについて説明させていただきました。

筆者自身は正直なところ紫外線に関するそういった細かな知識は疎いものであまり深く追求したことはなかったのですが今回のブログの内容を執筆するに当たり、様々な記事や経験を参考にさせていただきましたが、照明器具の紫外線に関する事について詳しく知る機会となり、今後のお客様のライティングプランの参考などになるような適切なアドバイスが出来るようにまた一つなったと感じております。
また、今回に限らず本ブログはお客様にとって有益な情報をできる限り記事としてUP出来るようにしていこうという目的で投稿しておりますが、当社の社員一人一人の知識及び見識の向上を目的としている側面もございます。
こういった取り組みを通じてお客様へのサービスの向上になればと考えております。

また、弊社でも当然LED照明器具の交換工事につきましては承っております。

昨今の新型コロナウィルスの影響でなかなか設備投資などを控えていらっしゃる方なども多いとは思われますが、今回紹介したメリット以外にも経済性や作業性など長期的に見たとき様々なメリットがLEDにはあり、一般のご家庭だけでなく、店舗様や企業様などのお問い合わせもお待ちしております。

弊社ではLEDに変更する際のライティングプランから電気代のシュミュレーションまでお見積もりを含めてやらせて頂いておりますのでLED照明器具に変更をご検討されている場合はお気軽にお問い合わせくださいませ。