少し前までは寒さを感じていたのにいつの間にか桜も咲いて暖かく、筆者としても春の訪れを肌で感じております。
気が付くともうすでに新年度となっていて駅のホームを見渡せば一回り大きな制服を着た学生さんや期待と緊張の表情をした新社会人の方などが目に入り、なんとも微笑ましい気持ちになりました。
そんな今年はなにかと企業さんや施設への発電機の設置工事などに関わらせて頂く機会が多かったように感じます。
こういった工事が増えてきているのも近年耳にすることの多くなってきた「BCP」が大きく関係してきているのだろうと考えられます。
ただこの「BCP」と言う言葉、私たちの日常ではあまり馴染みのない言葉であり、人のよっては聞いたことはあるけどその内容などについてはよく分からないと言う方や言葉や内容も知っているけど具体的にどうすればいいのか?と思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?
今回はそんな「BCP」についてご紹介していきたいと思います。
最近耳にするBCP対策って?
近年ビジネスの場において話題になる「BCP」というのは「Business Continuity Plan」(ビジネス・コンティニュイティ・プラン)の頭文字を取ったもので直訳すると事業継続計画となります。
この段階ですとまだイマイチ分からないと思いますが内容としては各企業が緊急時でも最小限の被害で事業を継続していけるような手段を講じておくように計画をしておくということです。
ちなみにBCPにおいて言われる緊急時というのは大きく分けて、
1.自然災害 (大地震、津波、台風etc.)
2.外部的要因 (サイバー攻撃、取引先企業の倒産)
3.内部的要因 (不祥事etc.)
という3つの要因を示しております。
特に我が国おいては東日本大震災に代表される1の自然災害は最も可能性のある緊急時になるでしょう。
また、直近で言えばCOVID-19のような自然災害(流行病なのでカテゴリ分けが難しいですが今回は自然災害とします)により緊急事態宣言のような外部的要因に繋がった複合的な要因などの場合もありますがこれもまた事業継続に関わる緊急時です。
BCPという考え方
このBCPという考え方は海外では70年代あたりから存在し、国内でも80年代くらいから大手企業などで認識されていた考え方です。
しかし70年代や80年代の段階では当時普及し始めたコンピューターのシステムに対して使われていた考え方で現在はより広い範囲を網羅する言葉となっています。
そんなBCPが一般的に注目されるようになったのは2011年に起きた東日本大震災で、当時多くの企業が被災し事業継続が困難となり倒産に至ったという背景から様々な企業で取り組まれ始めました。
BCPのメリット
ここまでで気になるのはBCPをを行った際に発生するメリットだと思われます。
では実際にそのメリットをいくつかご紹介していきます。
・緊急時に自社ですぐに復旧対応が行える。
もしも緊急事態が発生した場合BPC対策を事前に行っておけば社内で速やかな対応を行い最小限の
被害に抑えることが出来ます。
しかしこれには社内でのBCPの周知共有が行われていることが重要となってきます。
・企業としての信頼や価値を高める。
BCP対策を行い、それをしっかりとアピールすることで企業としてのイメージも良くなり、緊急時にも対応できるという事で顧客様や取引先からの信頼を獲得することに繋がります。
・重要業務の再認識及び共有
BCP対策を進めていく中で自社にとって何が最も重要な業務であるかが見えてくるためそれを再認識しまた全体でそれを共有する機会となります。
BCP対策と防災対策は同じ?
ここまでの内容をご覧になって「じゃあ、BCP対策って要するに防災対策の延長なのか?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論から申しますと「違います」
確かに内容としては自然災害に関する点においてかなり防災対策と内容が似通ってはおりますが、その目的とする点はかなり相違があります。
防災対策とは主に人命や資産などの保護と言う点に重きを置いて対策されています。
しかしBCP対策ではあくまで事業継続が主たる目的となるため緊急時の被害の最小化に重点を置いています。
ただ、どちらに置いても人命保護が最も優先され、BCPもその前提の上での事業継続計画となります。
日々複雑・細分化していくBCP対策
前項においてBCP対策の要因を3つとしてその例をいくつかあげましたがこれらは日々複雑化・細分化されていっております。
前述のとおり、BCP黎明期は主にシステム上の問題についてのことを示しておりましたがそこから時代や世相が変化するにつれて自然災害や社内での不祥事などにも発展して行き今現在も細分化されております。
こういったことは様々な事にも言えますが時代の変化に合わせて行くもので近年ですとSNSの発展や事業形態の変化などにより10年20年前とは状況が大きく変わったことで内容も変化しております。
たとえば飲食業などを例として言えば昨今、不特定多数の方が触れる共有物の安全衛生管理状況や飲食物の運搬配膳時の衛生状態への疑念の声なども企業として事業継続に関わる大きな問題のひとつではないでしょうか。
また、以前にも発生した通信キャリア企業のサーバートラブルによる大規模な通信障害もそのキャリアを業務で使用していた企業または個人に大きな影響を与えてしまいました。
そして建設業界においても今年に入って大手ゼネコンによる品質基準の虚偽が発覚したりと内外問わず様々な項目が増えてきております。
他にもサイバー攻撃や個人によるSNSの投稿によって起きる炎上、もっと言えばテロリズムに巻き込まれるなんてこともあるかもしれません。
これら全てが企業の事業継続を妨げる要因となります。
どうすればBCP対策はできるのか
結局の所、どこまでのBCP対策を講じればいいのか?ここまででご紹介してきた内容に全て対応するとなるとそれは非常に手間でかかる人材や時間などのコストも膨大です。
そのために自身の会社にあった適切な形にまとめていくことが重要となってきます。
その流れの一例としては
①自社において考えられるリスクを選定する。
②どの事業または業務を優先すべきか決める。
③実施の基準や手順などを踏まえた事前案の策定
④社内体制を整え、社内での内容の共有
⑤策定後の運用及び改善
となっております。
あくまでも一例ではありますがこういった流れに基づいて対策内容を策定していく事が望ましいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は何かと話題のBCP対策についてご紹介してみました。
このBCP対策は最初の段階から完璧な対策を講じなければならいというわけではありません。
前述の通り、最初の対策を策定してから運用していき、社内全体でのBCPの周知共有をして改善点や変更点を確認しながら徐々に精度を上げていくことで本当の意味での緊急時に個々が迅速かつ適切な行動を取ることで最小限の被害に留めるということがこのBCP対策において最も重要になってきます。
自社の被害を最小限にして事業を継続すると言うことは結果として顧客様や取引先企業などへの被害を少なくすることに繋がり、さらなる信頼を掴む事にも繋がります。
まだBCP対策をしていらっしゃらない企業様などもいらっしゃるかもしれませんが様々変化の多い今日、先を見据えてのBCP対策を進めていくことをオススメいたします。
当社でも非常用発電機の設置や水没対策の分電盤のかさ上げなど災害に対する対策施工の工事実績もございますのでそういった電気に関わるBCP対策につきましてはお気軽にご相談ください。