水トリー現象について

 

お久しぶりです。
長らく期間を空けてしまいましたが久々のブログの更新となります。


少し前に高圧ケーブルの改修工事をさせて頂いたのですがその際に非常に興味深い経験をさせて頂いたので今回皆さんにご紹介させて頂きたいと思います。 と言うのも、皆さんは「水トリー現象」という言葉をご存じでしょうか?
恐らくあまり聞き慣れない言葉なのでご存じの方はあまりいらっしゃらないかもしれませんが簡単に説明いたしますと電線ケーブルに亀裂が生じる現象です。
亀裂といっても実際に目視で確認できるのは数mm程度の小さな穴(ピンホール)なのですが小さな穴と馬鹿には出来ません。特に今回のケーブルは高圧ケーブルでしたので最悪の場合、重大な事故につながる可能性も十分にありえました。

それではその水トリーについてもう少し詳しくご説明いたします。

 

水トリー現象とは?

一般的な自家用電気設備では、高圧の電気を構内に引き込むための高圧ケーブルとして架橋ポリエチレンケーブル(CVケーブルなど)が使用されています。
この高圧ケーブルの絶縁に使われる架橋ポリエチレン内部に小さな亀裂が発生し樹枝(tree)状に成長する現象を「水トリー」と呼びます。

水トリーは3種類存在し、いずれも発生原因の違いから分けられます。

①内導水トリー:内部の導体から発生する
②外導水トリー:外部の半導電層から発生する
③ボウタイ状水トリー:絶縁物中に製造過程でできる微小のすき間や混入異物から発生する。

この3種類のうち、内導水トリーと外導水トリーは、特にケーブルの絶縁性能を大きく低下させ絶縁破壊事故の原因となっています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回、幸運にも原因がみつかりましたので良かったのですが距離にもよりますが長い距離のケーブルのどこかにある数mmの穴を見つけるのは極めて難しいので発生原因を間近で目にする事はなかなかありませんから非常に貴重な経験となりました。
そしてこの現象は特に昭和51年(1976年)以前に製造されたものに多く発生する傾向があります。
これ以前に建てた建物で高圧ケーブルの引替など工事を行っていない場合、水トリー現象が発生している可能性もありますので思い当たる節やご心配のようでしたら是非ご検討ください。